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日記

エヴァ好きのためのパチンコ黙示録2~パチンカーだって良いじゃない。世界の中心でアイを叫んだけものだもの~

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MITTRONさん

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続きでっせ。




ミトロン「雨。憂鬱な気分。僕の気分みたいだ。好きじゃない」

レイ「夕日。消えていく命。私の願い。好きじゃない」

アスカ「朝。今日の始まり。嫌な一日の始まり。好きじゃない」

ミトロン「青い空。暖かいホール。慣れない台。怖い台。当たらない台。好きじゃない」

アスカ「みんな、みんな、大ッ嫌い!」

ミサト「何を願うの?」


――ハズレが怖い?


アスカ「何が欲しいの?」


――当たりが欲しい?


レイ「何を求めているの?」


――ハズレないで!


アスカ「激アツをハズさないで!」

ミトロン「怖いものは……」


――激アツはずし


ミトロン「欲しいものは……」


――当たりと出玉


アスカ「打っていてもいいの?ここにいてもいいの?パチンコのこと好き?」


――パチンコのこと、好き?


幼いアスカ「ホールに行きたいの?」
アスカ「行きたくない」

幼いミトロン「当たりを見に行かないの?」
ミトロン「行きたくない」


幼いミトロン「どうして?」


――怖いから


ミトロン「当たらないのが怖いから」

アスカ「お金が消えてしまうかもしれないから」


――だから?


ミサト「何を願うの?」


――不安の解消


レイ「何を求めるの?」


――寂しさの解消


ユイ「幸せではないのね……」

ミトロン「その前に欲しいんだ。僕に勝ちが欲しいんだ。誰も自分を捨てない、大事にしてくれるだけの勝ちを」

ユイ「それはあなた自身で認めるしかないわよ。自分の価値を」


――だから、パチンコを打っている


ミトロン「僕には勝ちがない」

アスカ「生きていくだけの価値がない」

レイ「では、確率って何?」

ミトロン「じゃ、確率って何?確率ってなんなんだ!?」


ミトロンは思考の渦に落ちていく。全ての境界が曖昧になり、何も無い世界へと落ちていく。


ミトロン「……当たる確率ってなんなんだ?」


――どこに分布するんだ?


レイ「確率は確率。ただ、確率自身の広がりと分布がある」

ミトロン「そうだ。僕の存在、他人の存在、台の存在。それらが確率の一部」

レイ「あなたの意識で繋がっているモノ」

ミトロン「確率と感じているものが確率。確率は確率でしかないのか?でも当たりがわからない。当たりはどこにいるんだ?当たりってなんなんだ?確率ってなんなんだ?」


――だから確率の収束を、願う


ミトロン「誰もいつ当たかなんて解ってないんだ」

アスカ「あんたバカぁ?そんなの当たり前じゃん!誰も当たりのことなんか分かんないわよ」

ミサト「自分の幸運を予感し、理解できるのは自分しかいないの」

レイ「だから自分の感覚を大事にしなさい」

ミトロン「そんなこと言ったって自分がないんだ、わからないんだ。大事にできるわけないよ」


――不安なんだ


ミサト「今のあなた、周りの人々、それを取り巻く環境、どれもずっと永遠に続くものではない。時間は常に流れ、世界は変化の連続でできている。なによりも、あなたの心次第で、いつでも勝てるものなのよ」

ミトロン「これは?」


気が付くとミトロンは何もない世界に浮かんでいた。ただただ何もない世界。それが自由。何者にも束縛されない、自由の世界だった。

その代わりに何もない。


ミトロン「そんな、どうしたらいいのかわかんないよ」

レイ「不安なのね」

アスカ「自分のイメージがないのね」



自分が考えない限り、何もない世界。
――それが自由



冬月「どうしたらいいのかわからないのかね?」

ミトロン「どうしたらいいんですか?」

ゲンドウ「不自由をやろう」


一本のボーダーラインを与えられた。


ゲンドウ「これで基準ができた。でもこれで自由がひとつ消えた。お前は勝たなければならなくなった。少し不安が消えた」


それは自分の意識。


ミトロン「これは、僕の意識」


ミサト「パチンコ台にボーダーが存在するのは、あなたの周りの世界だけ。自分の意思で自由に打てる。その気になれば、パチンコの捉え方を変えることもできる。自分自身も変わることができる」

ゲンドウ「お前をかたどっているのは、お前自身の心とその周りの世界だからな」

ミサト「あなたが捉えている、現実の形なのよ」


――それがボーダー


ミトロンは、何も無い空間に戻る。そこでは自分の存在が消えていくのを感じる。自分以外なにも無い世界では、勝ちと負けの境界が無くなっていく。


――それは何故?


レイ「そこには、ミトロンしかいないから。自分以外の存在がないと、自分のボーダーを認識できないから。人は、数字を見ることで、自分を知る。自分のボーダーを知ることができる」


――自分のイメージ?


レイ「そう。他の人の数字を見ることで自分の数字を知っている。他人との格差を見ることで、自分の位置をイメージしている。あなたは他の人がいないと自分が見えないの」

ミトロン「他の人がいるから自分がいられるんじゃないか。一人はどこまで行っても一人じゃないか」

ミサト「他人との違いを認識することで、自分をかたどっているのね」

レイ「一番最初の他人は母親」

アスカ「母親はあなたとは違う人間なのよ」

ミトロン「そう、僕は僕だ。ただ、他の人たちが僕の心の形を作っているのも確かなんだ!」

ミサト「そうよ。ミトロン君」

アスカ「やっとわかったの?バカミトロン!!」



――――続く
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