続きです。 『黒猫撫子観察日記・1(後)』 程なくして、1人の女性が車に駆け寄って来た。 その女性は赤ん坊の母親で、初めはひどく取り乱した様子だったけど、赤ん坊の無事を確認すると、ほっとしたみたい。 赤ん坊を抱いたまま、その場に座り込んでしまった。 全く、そんなに取り乱す程に大切なら、何故置き去りになんてしたのかしら? 『けいびいん』君に事情を聞かれると、女性は「ほんの少しだけのつもりだった」と泣きながら話し始めた。 ほんの少し、30分程度遊ぶつもりが、パチンコで『かくへん』というものを引き当ててしまい、時間が経つのも忘れて遊んでいたという。 と、まぁ……ここまでが、8月に私が体験した話。 私ったら、ちょっとしたヒーローみたいでしょ? 私は、いろんな人間がこのパチンコ店に遊びに来る事を知っている。 猫の私には到底分からないけれど、きっとパチンコは人間にとって、とても楽しい遊びに違いない。 でも、『遊び』は『遊び』でしかない。 本当に大切な物を見失わないで欲しい。 彼女は、『子供』と『かくへん』どちらが本当に大切なのか、分かっている筈。 パチンコは楽しいかもしれないけれど、のめり込み過ぎない事。 それだけ。 そんな簡単な事が時々分からなくなるんだから、人間って本当に馬鹿だわ。 実は私、猫じゃらしに夢中になって3時間も遊んでいた過去があったけれど。 それは都合良く忘れる事にして、ふわっと、1つアクビをした。 END. 黒猫視点で、パチンコの問題点を見つめ直そうシリーズ。 シリーズと言いつつ、続編は未定。 この話が好評なら続く……かも知れない(笑)