パチンコホールで捕まえて・７


そこで、ついに俺の実験は最終段階へと移行した。

実験の内容はこうだ。


『女神の居る日に、女神の居るホールへ行く。ただし、彼女からコーヒーは買わない』


これは、かなり忍耐力が必要とされる実験になる筈だった。

何しろ俺ときたら、ホールに毎日のように通い詰めては、当たってもいないくせにコーヒーを頼み続けていたのだ。


さすがに彼女も、俺の顔くらいは覚えてくれたんだろう。

俺がホールに現れると、真っ先に俺の所に来てくれる。

俺の傍まで来てから、
「コーヒーはいかがですか？」
と小首を傾げて尋ねて来る。

それがまた。
主人に餌をねだる犬だか猫みたいで、可愛いったらない。

その視線を真正面から受け止めて、コーヒーを買わないなんて事が出来るんだろうか？

だが、やらなくては実験にならないのだ。


俺は目立たないように変装して、いつものホールへと向かった。

まぁ、変装といったってサングラスを付けただけだ。

マスクも付けようかと思ったが、それでは変態と間違われかねない。

警備員に入り口で止められる可能性もあるので、サングラスのみの変装となった。



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美羽もホールに行きたい……。