「お父さんは式には出られないんだ」



引きつった顔で言う甥っ子





えっ‥どう意味？


暫く‥

意味が理解出来なかった‥





そして‥




お義母さんが開口一番




「だったら、私も出席しない」





後で聞いた話では、姪っ子が一週間前に
ダンちゃんの実家に来て





この話をしたそうだ




その時もお義母さんは同じことを言い





姪っ子は泣き出したそうだ





そう‥





離婚の原因はお義兄ちゃんにあり





20年経った今でも、元奥さんはお義兄ちゃんを
許せないのだ




きっと、姪っ子も甥っ子もお母さんに
きつく言われたのだろう






どっちかを取らなければ、いけなかった







その後、何の連絡もなかったので




この件は解決したのかとお義母さんは
思っていたらしい





そう言えば‥





数日前に姪っ子から私にも電話があった





その時は
「ココアちゃん、来れる？」とか
たわいもない話しかしなかったけど‥





何か話したかったのかも





式までもう時間もない




その前に親族紹介もある





揉めていたら‥





お義兄ちゃんは何も言わず





いなくなってしまった





自分はここにいてはいけないんだと
思ったのだろう






お義母さんを
「それじゃあ、◯ちゃんが可哀想だ」
となだめすかし





式に出席させ、無事に終わり




披露宴前にダンちゃんやお義母さんが
お義兄ちゃんに何度も電話したけど






電話には出なかった






披露宴が始まり





私達のテーブルはひとつ空席






結婚式なのに、どんよりした私達のテーブル






隣のテーブルは元奥さんと隣には
今、一緒に暮らしてる男性





楽しそうな様子を見てたら




悔しくなってしまった





お義兄ちゃんは許せなくても





何で、今日一日だけ我慢してくれなかったの？






なんで、子供の為に我慢出来なかったの？





自分も勘当されて




悲しい思いをしたのは忘れたの？





お義母さんは口数も少ない




お義母さんにとって





お義兄ちゃんはいくつになっても
可愛い息子なのだ










最後に花嫁が母に宛てた手紙を読んで
披露宴は終わり





もちろん、一言もお父さんには触れていない







甥っ子も「俺の言い方が悪かった」と
凄く気にしてる様子だった







姪っ子も甥っ子も板挾みになった被害者だと
思った







せつなさだけが残る結婚式だった






翌日〜





私が月曜日が休みなのを知ってる姪っ子から
電話があった





「ココアちゃん‥
お父さん、怒ってるかな？」





たぶん‥





お義母さんにもお義姉さん達にも聞けないのだろう





「怒ってはいないと思うけど、寂しかったかも」





「そうだよね」





「あのさ、昨日の結婚式の写真と
昨日、お母さんに書いた手紙みたいなのを
お父さんにも書いてあげたらどうかな？」






「渡しずらかったら、私が渡してもいいし」







「うん、そうする(^_^)
自分で渡せるから大丈夫」








私が結婚したばかりの頃





ダンちゃんの実家にまだ慣れてなくて





ココアちゃん♪ココアちゃん♪となついてくれて





潤滑油になってくれた小さかった姪っ子









私は彼女の幸せをただただ祈るばかりです