高校に入り、まず…空手部に入部。 別に格闘技が好きな訳ではない。 ただただ見返してやりたかったのだ。 そして…弱い心を鍛えたかった。 ごく普通の高校生活。 【当時は短ランと革靴が流行っていた。携帯電話もあったが、今ではあんまり見かけないがポケベル、公衆電話が主な連絡手段。テレカは必須アイテムだ。】 そんな…ある日。 校門の前に女性が立っていた。 『○○くんだよね?中学バレーやってたから知ってるんだ。ずっと好きだったんだ』 「そっかぁ…ありがとう」 『彼女いるの?』 「いや…いないけど」 『良かったぁ…じゃ私が彼女になってあげる』 そう言ってその女性は帰った。 もろタイプで、すごく可愛く、1つ年上で積極的な女性だったが… 茶化されてるだけ。 もちろん本気にしなかった。 しかし…次の日も、またその次の日も…… 女性は毎日来てくれた。 次第に自分の心が、その女性に夢中になっていた。 『○○くんデートしよ』 そして初デート。 カラオケに行った。 初デートでカラオケは、失敗だと思うが…色々な話がゆっくり出来て良かった。 退室時間、間際になると… 『ねぇ…何か歌ってよ』 ここで選んだ曲は 【離したくはない】 初デートで歌う曲ではない。 しかし…女性は喜んでくれた。 その女性の学校の文化祭に呼ばれ見に行った時の事だ。 友達という友達に 『この人、私の彼氏なんだ』 と……紹介してくれた。 彼女は学校のマドンナ的存在だと気付いた。 そして……楽しい生活が続いたが 彼女は1つ年上。 高校3年生になると…こう言ってきた。 『私、県外の専門学校に行きたい。けど…○○が行くなって言うなら地元に就職するよ』 「何言ってんだ?行けよ!!たった1年だろ。俺もすぐ行くよ」 そして…彼女は県外の専門学校に行った。 最初の2~3ヶ月は頻繁に連絡を取っていたが… 次第に少なくなり 連絡を取らなくなった。 いわゆる自然消滅…… 自分も県外の(同じ)専門学校に合格したが… 気持ちは複雑だった。 そんな…ある日 出会った時と同じように校門の前に、彼女がいた。 『久しぶり!元気してた?ごめんね。連絡しなくて…』 「あぁ元気だよ。○○も元気してた?」 『うん。だけど…私、(別の)彼氏出来たんだ。』 「そっかぁ…幸せにしてもらえよ!」 『今まで、ありがとう』 彼女は泣きながらキスしてきた。 この時、まだ彼女が…泣きながらキスした意味が分からなかった。 その後、彼女の友達から連絡があった。 『何でフッたのよ!信じられない。』 友達の言葉で気付いた。 彼女は自分が褒めた服。お揃いのピアスを身に付けてきたのに…気付いてやれなかった。 本当は迎えに来てくれたのに……… 彼氏が出来たって事も嘘。 俺の強い気持ちを知りたかったのだ。 俺はバカだ。 悔やみきれない後悔。 本当に彼女に申し訳なく罪な気持ちだった。 彼女に合わせる顔がない。 専門学校も辞退して今の職場に就職。 ~つづく~